NARRATOR ROAD


投影…

2010/11/10

レーション(作品)

作品に魂をこめる。
作品には、人柄が投影されるのです。

番組も、ナレーションも作品として捉えられます。

この概念は、ナレーターを目指す一人一人が、
自覚し認識の下に学ばなければならない精神論と創造論です。
そして、デビューした後々以降、全身全霊の魂のこもった語り、
ナレーションを世に送り出さなければいけません。

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過日、書き記した「呼吸法」の話の中で、
OPALのレッスン生に、ようやく一人の男子が気付きと理解、
そして、実践可能となってきたと言うコメントを記述しました。

今日は、その彼について触れてみたいと思う。

21歳の彼が応募してきて、出会ったのは昨年3月末のことでした。
某大学に在籍し、以前は大手スクールで声優の道を目指していたが、
時間の流れに比例するように何かが違う、進むべき道は声優ではなく、
もっと違う道ではないのか、そう考えはじめ見出した結論はと言うと、
それは、語り手、ナレーターだったと言うことでした。

面談の席上でも、切々と訴えていました。

ところが、実質的なレッスンが始まってみると、
特に目立ったのが、声が小さい、渇舌、噛むなどなど…
悩みの種も多々あり、育て上げるには相当なエネルギーを要する、
そう、痛感させられる思いがあったことを覚えています。

4月から始まり、8月に中間テスト形式のサンプル収録を行うが、
これがまた、問題、課題が露呈される結果となったのです。
打ち上げ時、ある程度のことは出来るであろうと思っていたらしく、
若気のいたりなのか、この言葉を聞いて愕然としてしまう。

その後も、レッスンに励みながら、
紆余曲折があり、数多くの悩み、あがき、もがきの中、
今年の夏、人生の1ページとして足跡を残したい思いから、
夏休みを利用して実家のある岩手へ自転車の旅を敢行するのですが、
猛暑に負けたのか、後一歩のところで断念せざるを得なかった。
それでも、本人が言うには価値ある有意義な旅だったそうです。

その部分を見て思うに、一回り大きくなった様相を感じる。

そして、レッスン再開は10月。
OPALブログの本人コメントに記述されているように、
考えすぎても良い結果が生まれない。
教わった知識と身体の一体化から生まれる「呼吸法」が、
すべてを打開し、自然体なナレーションが確立すると言うコメント。

プロとして活躍している巨匠クラスに比べると、
いま、スタートラインに立ったばかりに等しい彼のナレーター人生。
この先々、まだまだ険しく厳しい茨の道のりです。

息遣い、息継ぎ「呼吸法」を
習得、体得したばかりですが、いま持ち合わせる素直な心を
汚すことなく、そして、気負うことなく進んでいけるならば、
近い将来、魂のこもった、素直な人となり、その人柄が投影された
彼のナレーション(作品)が世に登場するであろう。

そう思うと同時に、
現実的となり得るであろうと願ってやまない。
撮影地 埼玉県新座市 平林寺


呼吸法…

2010/11/09

はじめに、
身体、呼吸ありき…
こう前振りすると何を言ってるの、当然のことでしょう、
と、声を顕にする人が多いかもしれません。

ところが、
表現に欠かせない呼吸法に重きを置かず、
奥深い考えと意識を持たずに原稿を読んでいる。
そう言う人が数多くいる場面に遭遇します。

呼吸法とは、
「息遣い」「息継ぎ」を意味します。
大きく分けると、ナレーションの形成は、
「息遣い」「息継ぎ」「間」と言う、
3つの要素で構成されていると言うことが出来るのです。

この、3つの構成要素を完全に理解、把握し得た人、
その人のナレーションは、まず、息苦しさを感じさせず、
短尺から長尺読みが可能となり、自らが予測し得なかった、
読み方が現実となり驚きへと化していきます。

OPALのレッスン生の中に、
時間と苦悩の末、ようやく、その呼吸法を理解し、
克服、実践しつつ、プロデビューへと進む者がいます。
その内容は、次回、記述しましょう。

皆さんの周りにいませんか。
意味もなくブツブツと切った読み方をする人が…

その人は、思慮深い読解力を持ち合わせず、
文章の構造、文脈の展開に至る細部に着目することなく、
巧く読めれば評価される、認められるかもしれない。
そう思っている人、考えが甘い人と言っても過言ではない。

声が良くて、単に、巧く読める人なら世間に数多くいる。

問題は、ナレーター(語り手)として、
「身体能力」「腹式発声」「呼吸法」が確立しているか、
この三原則が、明確に理解され、実践されているかが、
ナレーションの「成立する、しない」に大きく起因するのです。

その意味することろはと言うと、
渇舌、高低、緩急、間、明瞭、聞きやすさの範囲に至り、
自然で滑らかな奥深い説得力あるナレーションが成立すると言えるのです。
学びの場で高低が足りないね、思いのほか緩急がないね、
と、確認をする、すると、当人からは・・・しているつもりなんですけど、
などと言葉が発するが、そのような、つもりなんですけどとはあり得ない、
いや、語り手はメッセージを代弁する立場、あってはならないのです。

それもこれも呼吸法が出来てない証であり、
息遣い、息継ぎ、間のとり方等の感覚が身についてくることによって、
明瞭も高低も緩急も自由自在に操ることが出来るのです。

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ナレーションは、「出だしとおしまい」が大切。
出だしとは「期待感を持たせる」おしまいは「記憶に留める」
と言う背景、奥深い意味が込められていることを知るべきであり、
決して、避けては通れない重要課題の一つであると言えるのです。
そして、魂のこもったナレーションは番組を生かしもし殺しもする、
と言う責任を担っているということも心に留め置かなければいけません。
息と言う言葉は、
自らの心と書いて「息」です。
表現者が、息をどう遣い、息継ぎをどうするか。

OPALでは、読み始めの前に姿勢を正し息を整え、
原稿を読み始めなさいと言う立場の教えから始まります。
自身が原稿を目にした瞬間、息をどのように遣い、
出だしをどう読み始めるか、と言う段階でスムーズに読める、読めない、
そのすべてが決まり、充足感を得る、得られないへと発展します。

才能がある、感性が高い、
そう言われたから、可能性を信じる、
という言葉が飛び交いますが、そこには実態がないのです。
実態がないからこそ形を作れるのです。
つまり、言うことろの三原則を身につけることによってのみ、
目指すべき道のプロフェッショナルが形と言う現象になると言えるのです。
撮影地 神奈川県箱根町 箱根美術館


回想録…

2010/11/04

本能と理性、善と悪、相反する二つの矛盾が、
この世に存在し形成されていることにお気付きでしょうか。

「人は何故、悩み、苦しむのでしょう」
事象の一部を回想録として記述しましょう。

参加者の中に、レッスンを重ねるに連れ、
悩み苦しみ、そして、あがき、もがく人を目にします。
その人は何故、悩みと苦しみに直面するのでしょうか。

その背景に潜んでいるものは言うと、こうです。
他の養成機関で学んだ経験者は、ある程度の知識を持ち合わせるが、
低次元レベルの理論と技術論の域にしか達していないのが実情なのです。
素直に夢を実現したいと願って来る者もいれば、一方では資質を省みず、
自身の感性、感覚に溺れ、そして、「誇大妄想と過大評価」の考えが交錯し、
自信と過信をはき違いをする結果に至っても、自分を認め受け入れられない、
様相の人が悩みと苦しみを背負い、苦悩に陥ってしまうと言うことです。

それは、単にレッスン生に留まらず、
一部の所属ナレーターにも見受けられる現象です。

プロとして自立する精神的・重要ポイント。
・自分の弱さを、直視出来る強さがない者は逞しいプレーヤーにはなれない。
・本当に好きで、本当にやりたいことは理屈ではない。
・ただ好きなこと、やりたいことに真っ直ぐに向かえるかどうかなのである。

ナレーターと言う職域で生きる、プロを目指す道程、
光が射すのか、道は開けるのか、誰にも見えず分からないのです。
一度、悩み苦しみを抱えたら自身で突破口を切り開く以外に方法はない。
自分は、それ以上でも、それ以下でもないのです。
自分が、どのくらい弱いのか把握できなければ人も組織も進化はしない。

選択肢は二つ。
・夢を諦めて野に咲く花のように普通に生きること選ぶか。
・夢を実現したいと強い意志が働くなら、自らの姿勢を正し突き進むのです。
そして、悩み、苦しくても逃げずに一路、前だけ見て進むこともいいでしょう。

お釈迦様は、このように言っております。
この世に生まれてきたことが悩み、苦しみの始まりであると…

 

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それが、仏教語で言うところの「四苦八苦」です。
人間として逃れられない必然的な苦しみをさします。
四苦とは、ご存知の「生老病死」、加えて下記の
「愛別離苦」
(あいべつりく)愛する人と別れる苦しみ。
「求不得苦」
(ぐふとくく)求めるが得られない苦しみ。
「怨憎会苦」
(おんぞうえく)怨み憎む人と出会う苦しみ。
「五陰盛苦」
(ごおんじょうく)存在を構成する物質的・精神的要素に執着する苦しみ。

人は選ぶことが出来る動物です。
だが、判断を間違えれば地獄と化する可能性も秘めています。
今のあるがままの自分を受け入れ、素直な演者、素直な表現者になり得る、
大きな心を育てる準備をする必要性を忘れてはいけません。

決して、自分に酔って「過大評価と誇大妄想」を抱いてはいけないのです。

 

撮影地 鎌倉市大町 安国論寺

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